雁月

がんづきとかゲームとか映画とか

INSIDEノススメ

追われに追われて一人きり、少年はいつのまにか闇のプロジェクトの中枢に引きずり込まれていた。

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ガンガンハロー岩チューブ!
というわけでおススメゲーム紹介記事です。自己満足のためにシリーズ化予定ですイェイイェイイェイ。

記念すべき第一回のゲーム紹介はINSIDEです。
まずはトレーラーを観てね。

youtu.be

退廃的で陰鬱な世界観で繰り広げられるシンプルな横スクロール2Dアクションです。
終始不気味だけどホラーではなくてあくまで2Dアクションゲームですよ!パズルアクションが近いかもですね。
Limboで有名なデベロッパーPlaydeadさんの2作目です。
Playdeadさんはデンマークの会社で、遊びをテーマにゲーム制作をしている会社さんです。

ある日なんとなくSteamを彷徨っていたら見つけ、トレーラーを見て………。



一目惚れした。


川を覗いていたらいきなり胸ぐらを掴まれて頭から引き摺り込まれたような。危険な魅力がそこにあった。

どんなゲーム?

死にゲーです。初見殺しのオンパレード!バリエーション豊かな死!どんなセールスポイントだ。
死をテーマと作品なだけあって死の表現に容赦がなく、主人公はもうめちゃくちゃ死ぬことになります。犬に喰われたり、スニークがばれて監視マシーンに殺されたり、スクリューに飲み込まれたり。ひでえ。

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死に味はあっさり
そんなんでしぬの!?っていうことの繰り返し&めちゃくちゃはやいリスタートもあって主人公の死がどうでもよくなっていきます。
「あっミスった。まあいっか」の繰り返しで命の価値がどんどん失われていく。


トレーラーを見てわかる通り、主人公は何者なのか、どこへ向かっているのか、目的は何なのか作中で一切明らかになりません。
最初はとりあえず追手に捕まらないように逃避行を続けます。森からトウモロコシ畑へ、そしてマリオネットのような生気のない人々の行列についていき気づけば施設の中に。目的もわからないまま淡々と一本道を進んでいきます。

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マリオネットのような生気のない人々の行列

作中には様々なギミックがあり、そのギミックを利用してある時は追手から隠れたり、移動するための足場を見繕ったりします。
その中の目玉ともいえるヘッドギアが面白いんです。

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印象的なギミックであるヘッドギア
主人公がヘッドギアを被ると、主人公の操作に連動して抜け殻のような人々が一斉に同じ動作をします。 そう、複数の人間を操ることができるんです。
独りでは動かせないものを運んだり、主人公を高い足場へ登らせたり、彼らを操って先へ進んでいきます。先に進めるようなったら彼らは用済み。ヘッドギアを外すと操っていた人は崩れ落ち、魂が抜けたようにピクリとも動かなくなります。
年齢も体格もバラバラであろう彼らは一体何者なのか。


こうして人々を使い捨て、時にはリスタートという形で自分の命も使い捨てて施設を奥へ奥へと進んでいきます。

そして最深部で……。



クライマックスは前情報0で体験してこそ価値があると思っているので感想しか書けないのですが、あまりの衝撃で頭が真っ白になりました。
これが目的?どうして彼が?私が目にしているモノはなに?どこへ向かえと?……まとめられない様々な感情で脳がジリジリと焼け付き、理解を拒むような感覚があったのを覚えています。


Playdeadさんの作品はエンディングを迎えるその瞬間に深いカタルシスが用意されています。ぜひ最後まで見届けて下さいね。

ここがステキ

徹底したゲームデザイン

このゲーム、ゲームデザインがめちゃくちゃ上手なんです。
一言でいうと引き算のプロ。必要な要素以外をほぼ排除し、抑えるべきポイントを最高水準で抑えているというか。このゲームでいうと操作性状況をプレイヤーへ伝える技術の二点ですね。


最近のゲームは派手な演出!独自のシステム!ボタンを余すことなく使った複雑だけどカッコよくて映える操作!カラフルでイケてるキャラクター!みたいなもので勝負していることが多いのですが、INSIDEはその流れに真っ向から対立しています。
操作は移動とジャンプ、つかみ(物を動かすため)というたった3種類。操作をシンプルにすることによりINSIDEという世界を存分に味わえ!ってことなんでしょうね。
操作性の良さや死んでからのリスタートがほぼノーロードのためストレスが一切ないのと、先に進むにはどうすればいいかといった誘導もわかりやすいです。


状況をプレイヤーへ伝える技術についてですが、言語を介した表現を一切排除して風景だけで表現していたり、その場その場で音楽を切り替えたりすることでプレイヤーへのメッセージとしています。
どちらも非常に自然な導入のため、没入感を維持できているのがステキだと思います。
(危険が迫っている時すごくうるさい音楽鳴らしたりするゲームありません?あれ親切といえば親切だけどゲームオーバーを意識しすぎて雰囲気壊してる気がします)

世界観

なんといってもこの世界観ですよ。正直トレーラーから好みドストライクすぎてびっくりしたんですよね。

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すこ
怪しい研究施設の廃墟大好きマン。こういう感じのオススメゲームあったら教えてくれ。


ビジュアル、サウンドが本当に芸術的。
彩度を抑えることによって際立つ光の表現。鮮やかな黄色い光で怪しげに存在を強調するヘッドギア。無機質な研究施設で突然現れるうっそうと生い茂る森林。さかしまの世界。怖いもの見たさに似た興味が指を動かしぐいぐいと先へ進んでしまいます。グロテスクな中にすこしだけ美しさも感じますよね。

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さかしまの世界

そしてサウンド。ぜひイヤホンやヘッドホンでプレイしてください。イヤホンをすると、自分が出す音(心臓の鼓動とか)と同じように、ゲームのBGMや足音、装置の駆動音が体内から聞こえてくるような不思議な錯覚に陥ります。というのも実はこのサウンドには秘密があって、音源を頭蓋骨を通して録音したものを使用しているらしいです。1
変態だよもう。


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静けさの中に渦巻く狂気


作品のテーマはきっとこのタイトルがすべて。INSIDEーーー内側。なにかの、誰かの腹の中。
読み解くヒントはあのヘッドギアと抜け殻のような人間なんでしょう。

まとめ

このゲーム、トレーラーが何よりも魅力を物語ってる気がする。トレーラーでピンと来た人は絶対に裏切られないので買いましょう。
考察が好きな方には超おすすめ。
不満があるとすればお値段かな。このボリュームで2,000円はちょっと敷居が高いかもしれない…。けどセール対象になることも多いのでセール時に買えば大丈夫!


隠しエンディングもありますよ!考察するなら絶対見るべしです。


日本ゲーム大賞(ブレワが〜ニーアが〜とか話題になってたアレです)ではゲームデザイナーズ大賞2017を受賞しています。桜井さんがコメントしててびびった。
ブレワ、ニーア、Overwatchやゲーム人喰いの大鷲トリコなど名だたるタイトルの中で唯一インディーで入賞していたりします。やばくない?
他にも数々の賞にノミネートされたり、6つほど受賞してます。ばけもん
私のレビューだけじゃ面白いか不安だなあって方は参考にしてね。


というわけで第一回ゲーム紹介でした。紹介はしたいけどネタバレはできれば一切したくないというタイトルを選んだせいで全然筆が進まずおいおい泣きながら書きました。いっつもふでがおそい
次もこういうインディーになるかな〜。
じゃあな!


INSIDE公式サイト
SteamでもPS4でもSwitchでも何ならスマホでも。買え。


  1. こちらからサンプルが聞けるよ。頭蓋骨の入手先は秘密なんだって。