雁月

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CURE 黒沢清 ぐだぐだレビュー

ガンガンハロー岩チューブ!

こんにちは。そういえば最近ホラー番組少なくなったよね。まあ興味出て心霊スポット行っちゃったらやばいもんね。
そしてホラー番組が盛んな時代でも全く取り上げられなかった地元のある場所を思い出すなどして色々震えました。

そんなことはさておき、ネットフリックスにて配信されていたCUREを観ましたよ。

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邦画です。黒沢清監督。
同監督の回路という作品を先に観て、演出が一線を画しててやべえよこの監督…となったので観てみることに。
回路まじ怖かったんすよ。特に最初の方。
BGMとか大げさな効果音が一切ないの。水の滴る音ですら恐怖を感じさせることができる。そんな感じです。
2回目あたりの恐怖演出で「あっ、これやべえやつだ……」と悟りました。
イヤホンで聴いてたから耳元で「たすけて…」を何回も囁くはめになり、まじでやめてよ〜となりました。
だいぶ長くなっちゃいましたが、回路の話はこんなもんにして。

行きます。

映画見た後に気に入ったやつは考察探していろんなサイトを巡回するんですが、長々あらすじ書いてるサイトが嫌いなのであらすじは無しでいきます。

ネタバレあるよ!!!!!自衛よろ!!!!!
適当に大見出しつけてお話しします。

あ、小説は未読です。いつか見ます。





大まかに

一言で言うと精神クラッシュサスペンス。

私「猟奇殺人事件を追ってくサスペンスか〜まあ観てみよ」

〜視聴後〜

私「軽い気持ちで観るもんじゃねえなこれ…」

ぐったり。

割とサスペンスやカルト映画をよく観るので、「殺人鬼が個性豊かな方法で人を殺すシーン!!グチャーー!!!」みたいなえぐい描写の耐性はあるのですが、別方向から殴られました。

この映画は大きく二つに分けられていて、前半は主人公の高部が連続殺人事件のキーパーソンとなる間宮と出会うところまで、後半は間宮と出会ってから彼に引き込まれて…という感じですね。この後半のせいです。

間宮と高部が邂逅し、高部が間宮の正体に近づくにつれて現実の認識が歪んでいくという構成を取っているのですが、初見だと状況の整理がうまくできず脳がキャパオーバーになってパンクします。

あと演出にホラーっぽい不気味さが追加されるのもパンクするのに拍車をかけてますね。
いやだってサスペンスだと思ってたらホラーになるんですよ?最初からホラーだと意識して観るのと全然違くないですか?変な汗でるぞ。しかも怖さがダンチだし。


だからこそ強烈に印象に残りました。

間宮

内側になんにもない男。
それ故に、相手を写し取り、相手を知る。そして…。

あまりその分野に詳しくはないですが、間宮は積極的に会話の主導権を握ろうとしてますよね。おそらく無意識で。
「お前は誰だ?」に答えてしまったら終わり。
「あいつムカつくな。殺してやりたい」という誰にでもあるような一瞬の気の迷いに入り込むどうしようもなさ。
でんでんさん演じる警官のシーンを通して異常さが伝わってきます。

一人の人間というより、「伝道師」というシステムのような立ち振る舞いをしていますよね。

存在感がないゆえにどこにでも存在しうると錯覚させることができますよね。
映画見終わってトイレから戻るときドア開けたらそこに立ってるんじゃないかと思ってしまった。12時過ぎててまじで怖かった。

ていうか私だけなんでしょうけど、警官に流し目してる時とか謎にドキッとしてしまいました。
うまく言語化できていないのですが、存在が曖昧なあたりがそう感じさせるのかな。


高部に対し「凄いよあんたは」と返した後、高部が部屋を出るまでの空白の時間で一体なにがあったのでしょう。

高部

なぜ最後病院へ行き、ラジオを聴くところがクライマックスなのか?

人がなぜ病院に行くかというと、風邪や怪我を“治療”するためですよね。
高部は最後にやっと自分のために病院に向かいます(作中何度も病院に行くものの妻や調査のためが理由でした)。
彼はそこでついに"治療"してもらった。
そして蓄音機から「癒せ」という言葉を聞き、伝道師となったのでしょう。

「もう元には引き返せない、日常とは違うレベルに達する男の物語」(黒沢清


「ストレスの固まりだった男がストレスのない人間になる。監督の言葉を借りれば〈怪物の出来上がり〉」(役所広司

ファミレスのシーンは対比的で面白いですよね。
途中のシーンでは料理が全く喉を通らないのに対し、最後のシーンではもりもりと完食。
治療によってストレスから解放され、健康そうに見えるもののその実中身は怪物というのが手遅れ感あって好きです。

最後のウェイトレスのシーンは2回目見直してやっと意味に気づきました。


てか役所広司さん演技うますぎん???
目の演技や覇気のコントロールがあまりにもすごすぎる。

印象的で好きなシーン

2つあります。

後半の高部と佐久間がテープを見るシーン

「もう俺やばいな!俺がこんなになってたらダメだな!」から、自室の明かりをつけたら壁にXが描かれているのが見えるシーン。


このシーン演出うますぎませんか?めちゃくちゃゾッとした。

しかも壁のXを見た高部の「佐久間、それ」っていうセリフの精気の無さ。直前の「佐久間、佐久間」という呼びかけも相まって、二人とももうまともな精神じゃないんだなって気付きますよね。


後に佐久間は自室の天井(?)と自分の手を手錠で繋いだ状態で遺体を発見されますが、手錠をしていたのは自制するためですよね?

あれ?ていうか佐久間さん手錠ってどこから手に入れたの?
ここについて深く掘り下げてるレビューがなかなかなく悩み中です。

このシーンは「伝道師」についてと「佐久間は死んで高部は死ななかった」という対比を描きたかったように見えるので、どう死んだかについては考察する意味は薄そうですが…。

小説版に答えがあったりしますか?

最後の病院で高部が人影を見つけるシーン

人影に向かってドア(?)をくぐるものの、そこにあったのは伯楽陶二郎の顔の張り紙だけだったというシーンのことです。
「このシーン表現が面白いな」みたいな感じで印象に残ったっていうより、純粋に怖かったです。

ガチで怖くて顔背けようかだいぶ葛藤しました。誰がいるんだろうと意地で見続けたんですが、そっから出てきたのはあの顔がない伯楽陶二郎ですよ!?!?!
私の精神は無事死にました。

顔がないことでめちゃくちゃな不安感を煽ってきますが、見続けたくなるような不思議な感覚も湧きます。っていうかびっっっみょーーーに目のとこ黒くなってるのがまた上手いですよね。

そういえば伯楽陶二郎の顔がないっていうのは、(間宮と同じように)アイデンティティは存在せず、空っぽで相手をただ受け止めるだけの存在だということかな?と解釈しました。

全体を通して

他にも映画の冒頭から、点滅、水滴、炎といったカギを些細なワンシーンに入れ込んでいるのが良いシーンだと思いました。
一見ふつうに背景として認識していたものにも意味が含まれていた、という演出が大好きマンなので唸りまくりです。

そういえばバスで移動するシーン、背景が飛行機から見える景色のようになっていてめちゃくちゃ現実感がないシーンとなってましたが、監督がよく使う技法のようですね。

ていうか高部の移動全般に関しては後半ほとんどどこ通ってんのこれ?って感じでした。
でも精神世界とかではないんですよね。精神を反映させた表現ってことでしょうか。


というわけでぐだぐだレビューでした。超好きなのでノススメでも取り上げるかも(順番逆な気がする)。
でも映画とかの作品を取り上げるのめっっっちゃむずいんだよな〜。

いや〜すごい作品でした…。正直邦画なら1番好きかもしれない。
シン・ゴジラと迷うけど、ジャンルが違うので決められねェな…。

夜中に記事を書くことがあるんですが、この記事書いたら夢見悪くて汗びっしょりでした。何?


そういえば。

なんとタイムリーなことに、CUREが国内で初めてBlu-ray化するそうですよ!!!!!!

しかもいろんな特典映像も付くみたいですよ!!


深夜アニメのCMみたいになっちゃった。
予約しました。ありがて〜。
てか4000円だったんですけど安すぎません??
11/27発売ですよ!もうじゃん!超楽しみです。

以上、ぐだぐだレビューCUREでした。

おまけ

サムネのためにポスター探してた時にもう一種類発見。

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役所広司さんにじわる
こっちはなんというかミッドサマーみがありますね。あるよね?

そんだけ。

(2020/11/28 追記)
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じゃあな!