雁月

がんづきとかゲームとか映画とか

良かったけど2度は観たくない 最後の決闘裁判 ぐだぐだレビュー

ガンガンハロー岩チューブ!!

最後の決闘裁判観ました。

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《STORY》 中世フランス──騎士の妻マルグリットが、夫の旧友に乱暴されたと訴えるが、彼は無実を主張し、目撃者もいない。​

真実の行方は、夫と被告による生死を賭けた“決闘裁判”に委ねられる。それは、神による絶対的な裁き── 勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ決闘で命拾いしても罪人として死罪になる。

そして、もしも夫が負ければ、マルグリットまでもが偽証の罪で火あぶりの刑を受けるのだ。

果たして、裁かれるべきは誰なのか?あなたが、 この裁判の証人となる。

youtu.be

衝撃の実話ミステリー!歴史的スキャンダル!とのこと。

いつも通りネタバレ不可避なんで自衛してね。
話分かってる体で書いていくので詳しい説明は載せないです。

んで、筆者である私はアダムドライバーファンであり、観に行くきっかけが彼でした。
そのためアダムへのクソデカ感情を書いてたりします。
キモかったら飛ばしてね!!


足を運ぶきっかけ

撮影時のスナップショットはしばらく前からずっと追ってて、つい最近になって「ん?これいつ日本に来るんだ?」と思って調べたらなんと10/15。知った時10/13。え?まじ?目と鼻の先じゃん。

んで、トレーラーみたらアダムが旧友の妻に乱暴するっていうゴミクズ役だったのでテンションが爆上がりして暴れまわり気づいたら映画館にいました。


一方でトレーラーでめちゃくちゃ話重そうなのは伝わってきたので、この動機で見に行って大丈夫かな…という不安もありました。


全体を通しての感想

まず、実話ミステリーではないです。

あらすじからトレーラーまで全部釣りみたいなもんです。
「ミステリー」とか「決闘で勝った方が真実!手に汗握るぜ!」みたいなキャッチーな印象持たせといて実際は生々しく淡々とレイプ事件に焦点を当てた話だったという。
最初から「レイプ事件に焦点を当てている」と知ったら見に来ないであろう方々がターゲットなんでしょうかね。
狙ってやっているのでしょうがうまいなあと思いました。

ミステリーではないと断言しているのは、マルグリットの章開始の字幕だけtruthの文字が強調されていたから。メタ的手法による真実の開示によって、本作は真実を明らかにするのが目的ではないことがわかります。
そして野郎には全く感情移入できないしそもそもマルグリットは決闘裁判自体を望んでなかったので、どの立場から見ても決闘の結果に満足する人いないようにできてますよね。私は後味の悪さだけが残りました。

とてもよくできたいい映画だしアダムのル・グリもありがとうなんですが、どうにももう一回足を運ぶ気分にならないのは、レイプシーンのキツさとこの後味の悪さが原因かなと思います。胸やけみたいなのが起きとる。


マルグリットの性行シーンが全部きついんですよ。
マジで痛いのが伝わってくる…顔しかめながらの鑑賞でした。過去そういったトラウマがある方はかなりキツいと思います。
普通推しの濡れ場って多少なりともテンション上がるもんだと思うのですが、1ミリも上がらずいっそおぞましかったです。演技力が高い。

カルージュの「あいつが最後の男とかありえん、さあやるぞ!(デデドン)(うろ覚え)」にドン引きして座ったまま無言で「!?」「!?」「!?」となった。近くに座ってた方気になってたらすみません。

このレイプ描写の仕方、声を上げた人(マルグリット)に対する人々の描写から、この作品は「レイプ事件に寄り添う」のではなく「レイプ事件を取り上げた」のほうがしっくりくると思いました。


映画の内容としては、現代で問題になってるレイプの話をそのまま中世に落とし込んだような感じ。 ただ、中世で描くことで問題点を浮き彫りにしているような印象。
あくまで淡々と話を進めることに徹底し、観客に考えさせるのを目的としていているように思えました。


「無駄がシーンが一切ない」ように作った(ソース忘れました。すみません)というのがすさまじいレベルで、丁寧な伏線の張り方をしているな、と思いました。
例えばル・グリパートで城で女相手に鬼ごっこするシーンを入れたところ。後のマルグリットを追いかけるシーンでル・グリが「夫人はこの追いかけっこを愉しんでいる」と思い込んでいると分かるヒントになっていたりとか。
馬のシーンは暗喩的で分かりやすかったですね。

そして三部構成によって記憶は都合よく書き換えられるものというのがよくわかりましたね!
野郎パートの一番最初の戦争シーンで、カルージュもル・グリも助けたのは記憶してるけど助けられたのは全く記憶にないのおもろかったです。
こういったところやル・グリに追われてからのマルグリットの靴の脱ぎ方に至るまでほんとうに些細な描写まで入れ込んであるの恐ろしい。


主役ではないキャラクターだったり、当時の文化、思想の描写もかなり細かい。
裁判シーンで特に凝縮されていたような。
そしてその描写の細かさで被害者に寄り添ってなさすぎることが伝わってきました。

王様も「めっちゃ興味ね~~」っていうのが伝わってきたし。ル・グリの話長くて指輪いじってたり、まじで誰が何言ってても「おけ(聞いてない)、じゃあ話進めるね」みたいな態度でしたね。
っていうかあんな大人数の前で「性行為気持ちよかったんじゃないんスカ?」って聞かれるのヤバすぎる。乱暴されたっつってんだろ。

ここら辺の話、バリバリ現代でも変わってないと思いますよ!!!!!!


最後の最後にマルグリットは子供と安らかに過ごしていて、穏やかな表情を浮かべていたのが救いでした。
そして不死身かと思われたカルージュがあっさりと字幕で殺されてて笑った。


真実を知る前/知った後での決闘シーンの感想

前と後で人物に対する評価が180°変わりましたね。

真実を知る前の感想

  • 表情みるに、旧友なだけあっていろいろな感情を抱えてるんだろうか
  • お、これが奥さんか寒そう
  • うわーこの盛り上がる戦闘シーンが始まってすぐお預けか~気になる~~


くらいの月並みな感想でした。


真実を知った後の感想







なにこれ?





なんか頑張ってるけど二人とも死ねや。みたいな感じ。
こんなに盛り上がらん戦闘シーンもないです(ほめてます)。

マルグリットは強姦された真実を知ってほしいだけなのに本人じゃない奴が変な名目掲げて勝手にバトルしてるのなんていうかこう…ツイッターでよく見る…。


とはいえ闘いのシーンはめちゃくちゃ迫力ありましたね。あまり詳しく述べませんがリアルで良かったです。
重厚ではありましたが、格好いいという印象を与えたいという意図は感じませんでした。
どちらかというと、こんだけ本人以外に戦う意味がないのに決闘は激しく撮ることで、かえって無意味さを出していた気がします。


ていうかカルージュは出血多量で死ぬ死ぬ言われてたんだから早く死ねよと思ってしまった。 戦にスキルポイント全振り男がよォなに馬に乗って凱旋してんだこら


リドリー・スコット版『羅生門』という謳い文句について

これについても簡単に。
私は羅生門観たことがなくこれを機に観ました。めっちゃ面白かったです。
「ある一つの出来事を登場人物ごとの主観を通してみる」という表現が特徴で、これは映画界に影響を与えたとか。

この手法をとることにより、人間の「物事を無意識レベルの部分ですら自分に言いように捉える」醜さを表現できるので、そこは最後の決闘裁判には良かったかもしれません。

ただ、20世紀スタジオ公式で「リドリー・スコット版『羅生門』」と謳うのは意味合いが変わってよくないのでは?
羅生門って人間のエゴを散々見せつけた後にそれでも信頼しよう、というテーマの話だと思うので、本作の主旨から全くぶれてると思うのですが…。
羅生門を知っている方であれば、「羅生門を参考にした表現方法を用いた」というだけで「誰が本当のことを言っているのか分からない」という色眼鏡がかかってしまうので、本作のテーマとずれた表現方法になってしまいます。

現に映画ハッシュタグの感想を観たけど、なんか微妙にずれた解釈をしている方がちらほらいるような(伏せますが)…この3部構成が裏目に出ているんだと思います。


ジャック・ル・グリへのクソでか感情

アダムファン以外の方、特にこの映画を真面目に考察している方は見るの非推奨です。
せっかくだから残しとくか…みたいな気持ちで書きました。

折りたたみにしました。

ここをクリックして展開します。

ル・グリは

  • みんな大好き騎士
  • 聖職者目指してた(←私的にポイント)
  • ↑からラテン語がわかる=文学にも理解ある
  • 処世術に長けてる
  • 計算もできる
  • イケメン設定
    • (余談)アダムってイケメン枠ではなくね…?と思ってたので不思議な気持ちでした。Girls観ろって話ですね
  • 女の噂が絶えない

という文武両道しごでき色男でした。
最強設定じゃねこれ?マジ?ぼくがかんがえた?

飲んで騒いでた翌日の朝に雑談から真面目な話がすぐできんの好き~~となってしまった。
セッでいってた「俺の中の邪悪を受け入れろ」はちょっと引いたけど。
今だったらドン引きエピソードとして佐伯ポインティに投稿されてたよ。絶対「ダッッッッルァ!!!」って言われるやつ。


あとガタイが良すぎるから服が映えまくりなのも神でしたね。
時間経過を表現するためかボブスタートからどんどん伸びてったのも1粒で3度美味しいみたいな感じだったからありがとうございました。
一番髪長い時がやっぱり良い。

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この写真天才過ぎてヤバいですよね。
横顔がきれいだよ!!!!


てかル・グリでウハウハしてた人、ベン・アフレックのピエール伯も好きだと思うんですけどどう?逆もしかり。
私がベン・アフレックファンだったらサイコー!っつってたかも。

ピエール伯みたいなキャラ、数年前の映画だと無能で薄情者で描かれてそうだけど、本作ではそうではなかったですよね。
コミュ力めちゃくちゃ高くて実力も備わってるような描写がされてたのと、ル・グリが負けた後に剥かれて引きずられていくところをひとり最後まで見送っていたので、情はあったんだなと。
ただのいやな奴として書かれてなかったのがよかったです。
まあだからこそ全体的にモヤモヤがのこる仕上がりになってるんでしょうが…。


以上!!
絶対パンフ買うぜと思ったら製作すらされてないっぽいかったので受付で「ヤダヤダヤダ〜!!」つって駄々こねて帰りました。嘘です。
メイキングとかなんでもいいから資料とか出ないかな…。

この時代のゆったりとした服装好きなんですよね。その資料が欲しいんじゃ。
ル・グリが最初のほうに着てたゆったりとした黒のトップスに金の模様があしらわれてるやつめっちゃよかった。


本作、間違いなくいい作品なのでみんなもぜひ軽い動機で見に行ってくれよな!!

www.20thcenturystudios.jp

じゃあな!